(CNN) ハイテク株中心の米ナスダック市場では5日、実に2兆5000億ドル(約395兆円)もの時価総額が吹き飛んだ。米中間選挙での民主党の勝利でAI(人工知能)インフラの整備が減速するのではないかとの懸念から、投資家は慌ててハイテク株を手放した。
しかし、売りの連鎖に拍車をかけた別の要因もあった。AIブームを見込んで多額の資金を借り入れていた投資家が株式の売却を迫られたのだ。
借り入れによって投資規模を拡大しているヘッジファンドなどは、損失を穴埋めしたり追加証拠金の要求に応じたりするため、さらなる株式を売却せざるを得ない場合がある。こうなると相場下落が深刻化しかねない。
市場の突然の反落はすさまじかった。3日の夜遅くに選挙結果が判明し始めた当初こそ、先物は下落したものの、4日午前には民主党の躍進を好感して米株式市場は上昇に転じた。ところが、そうした楽観ムードは5日までに一変。民主党が新たに得た政治的影響力を駆使して規制を強化し、AIインフラの整備にブレーキをかける可能性への懸念が広がった。
一例がテキサス州だ。州知事に当選した民主党のジーナ・ヒノホサ氏は、データセンター建設の一時停止や、州内でデータセンターを建設する企業への特定の税制優遇措置の廃止を公約に掲げていた。こうした公約が今、AIブームの先行きに対する投資家の不安に拍車をかけている。
ハリス・フィナンシャルグループの幹部ジェイミー・コックス氏は、「あと1~2日もすれば、人々は(AIブームの)終わりではないと気付くはずだ」と指摘する。コックス氏の予想では、企業は既存のデータセンターの処理能力を高めるために追加資金を投じるとみられる。
そこで話は終わらず、ヘッジファンドが絡んできて相場下落を増幅させた、というのがコックス氏の見立てだ。ヘッジファンドの一部は借り入れによって株式投資の規模を拡大している。
借り入れにより、ファンドは自己資金以上に大きな投資ができるようになり、その分、利益や損失も膨らむ。投資先の価値が下落すれば、株式購入を目的に借り入れをしていたファンドは、貸し手や証券会社から追加の現金や担保を差し入れるよう求められる。もし応じることができなければ、株を売って資金を確保せざるを得ないかもしれない。
こうした売りが株価をさらに押し下げ、悪循環を引き起こす。株価の下落で追加の現金を求められ、売り圧力が強まって一段と値下がりするという構図だ。
コックス氏は5日の値動きについて「市場の暴落や、何らかの差し迫った破局を示すものではない」と指摘。むしろ、「企業が身の丈を超えてレバレッジを効かせた結果だ」との見方を示した。(レバレッジとは資金を借り入れ、より多くの資産を購入する行為を指す)
ヘッジファンド主導の売りが一巡するまでには、もう数日かかる可能性もある。選挙結果による当初のショックが薄れ始めても、株価への下押し圧力は増すかもしれない。
これはAI投資が抱える一段と大きな脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにしている。投資家がブームを見込んで借り入れを増やせばその分、信頼が揺らぎ始めた時の痛みも増す、ということだ。
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