(CNN) 世界最大の暗号資産取引所バイナンスで29日、ハッカーが60億ドル(約9440億円)を超える暗号資産(仮想通貨)を盗み出し、暗号資産の盗難としては過去最大の被害額になった。複数の調査機関が北朝鮮の関与を指摘している。
暗号資産関係の企業でつくるチームは米国時間29日夜の時点で、盗まれた資産のうち約30億ドル相当を凍結することに成功した。盗まれたデジタル資産を追跡して管理下に置こうと、ハッカーとの間で激しい攻防が繰り広げられている。
ハッカーが侵入したのは、世界最大の暗号資産取引所バイナンスが持つデジタルウォレットだった。
バイナンスは29日遅く、初期調査の結果、ハッカーはエンジニアのノートパソコンを通じて侵入したとみられると発表。これにより「攻撃者がサービスコンテナにアクセスし、不正な出金指示を送信できる状態になった」との見方を示した。
バイナンスは「自社の資産」や緊急準備基金から「被害額を全額補填(ほてん)」すると表明し、「利用者の資産は安全だ」と付け加えた。「セキュリティー確認が完了するまで入出金を一時停止し、被害を受けたアドレスの権限を取り消したほか、資産の追跡と回収に向け、捜査当局やブロックチェーン分析のパートナー企業と連携している」と説明した。
被害額の大きさに、専門家の間では衝撃が広がっている。
暗号資産の大手マーケットメーカー、GSRでシステマティックOTC(店頭取引)事業を統括するアラビンド・スリニバサン氏はロイター通信の取材に、「史上最大のハッキング事件」だと指摘した。
暗号資産の追跡を手がけるTRMラボは、「ブロックチェーン内外の強力な情報を踏まえ」、北朝鮮の精鋭ハッキング部隊による犯行との判断に至った。
シンガポールを拠点とするブロックチェーン追跡企業パンゴリン・インテリジェンスも、北朝鮮のハッカー部隊が背後にいるとの見方を示した。
パンゴリン・インテリジェンスのアナリストによると、「今回のハッキングに関連するブロックチェーン上の活動を分析し、(北朝鮮のサイバー部隊が関与した)過去の事件から得られた情報と照合した」結果、北朝鮮の犯行との見方に至ったという。このアナリストはプライバシーを理由に匿名を希望した。
パンゴリンのアナリストはCNNに対し、「いたちごっこはまだ始まったばかりだと思う」とコメント。北朝鮮は盗んだ暗号資産の現金化を図るため、マネーロンダリング(資金洗浄)を手がける組織のネットワークを活用する可能性が高いと指摘している。
CNNは北朝鮮の国連代表部にコメントを求めている。北朝鮮政府はこれまで、ハッキングへの関与を否定してきた。
CNNは米連邦捜査局(FBI)や、サイバー犯罪の捜査も担う米大統領警護隊(シークレットサービス)にコメントを求めている。過去の大規模な暗号資産ハッキングの捜査では、FBIが専門チームを緊急招集して一部の資産を凍結した。
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