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(CNN) 東欧の強権的な指導者がまた一人、新興勢力の運動によって打倒された。長期にわたりセルビア大統領の座にあったアレクサンダル・ブチッチ氏が、学生主導の陣営に予想外の敗北を喫した。

欧州ではこの数週間、フランスやイタリアをはじめとする他国でも、若者たちが教育や雇用の改善を求めてデモを展開している。だがセルビアの学生運動はその起源も目標も、さらには並外れた持続力も、他国の例とは大きく異なっていた。高校生も参加したとはいえ、10代でなく20代の若者たちを中心とした運動だった点も異質だ。

さらに、この運動はよく統制が取れていた。政府側は、メンバーの中にわざわざ衝突を起こそうとする過激集団や、狙いが略奪にあるグループも紛れ込んでいるという印象を与えようとしたが、そのような事実はなかった。

セルビアの学生運動は2年前、思いもよらない状況から広がり始めた。

2024年11月、北部の都市ノビサドで鉄道駅の屋根が崩落し、子ども2人を含む15人が死亡した。

ずさんな工事が原因となったこの悲劇をきっかけに、汚職に対する怒りや、政府による説明責任の欠如と怠慢に対する憤りが爆発した。

抗議活動は象徴的な行事から始まった。毎週金曜日、ちょうど屋根が崩落した現地時間午前11時52分から、死者に15分間の黙とうを捧げる集会だ。

学生たちによる追悼集会が警察の厳しい取り締まりを受けたことで、抗議行動は政治運動に発展した。昨年3月には、30万人以上の参加者が首都ベオグラードの道路を埋め尽くした。

この学生運動はある意味、1960年代に米国で起きた公民権運動の再来だったともいえる。昨年1月には、ノビサド大学の学生が市内3カ所の橋を封鎖したデモに参加しようと、ベオグラードの学生らが100キロの行進を企画した。

ベオグラード大学のカタリナ・ベシレビッチ氏は、学生が憲法のコピーを手に自転車で走ったデモについて、「学生たちは自分たちの闘争に人々が気づいてくれるように憲法の写しを掲げた」と書いた。

運動にはあらゆる人々が参加した。ポーランドの首都ワルシャワにある東方研究所のマルタ・シュパラ氏は、「この学生運動の重要な特徴は、宗教や民族、地域の違いを超えて市民の連帯を築こうとする決意だ。例えば、スラム教徒や、ボシュニャク人と呼ばれるイスラム系住民を積極的に取り込んでいる」と指摘した。

国内各地での長距離の行進によって、学生たちは小さな町や村で自分たちの理念を表明する機会を得た。当局による報道統制のせいで、こうした町や村の住民はデモの目的を知らなかった。

運動はまもなく、さらに大きな目標を掲げるようになった。もともとノビサドの被害者への正当な対応を求めて始まった運動だが、横行する汚職や威圧と監視ばかりが目立つ選挙、国家による抑圧的な報道統制から、民主主義と市民社会を救うことがテーマになった。

この点で、欧州の他地域で起きている学生の抗議行動とは根本的に異なっていた。

やがて学生主導の新興勢力「学生リスト」が結成され、デモが組織化された。学生リストは25日の総選挙で、ブチッチ氏の「セルビア進歩党」に圧勝した。

これとよく似た例がハンガリーだ。今年の選挙で強権的なオルバン・ビクトル氏が敗れた。同氏とブチッチ氏はどちらも過去10年あまり権力を握っていた。二人ともロシアのプーチン大統領と友好的な関係にあり、メディアと企業を掌握することで絶大な権力を蓄えた。

ブチッチ氏はまさにプーチン氏の手法を借りて、憲法が定める3選禁止を回避するために大統領から首相への転身を画策。セルビア人のナショナリズムに強く訴える作戦も取った。

ベオグラードでは先月、旧ユーゴスラビア紛争における人道犯罪で有罪となったボスニア・セルビア人勢力の元司令官、ラトコ・ムラジッチ受刑者の軍葬が執り行われた。

セルビアとウクライナにも共通点がある。ウクライナでは2014年、若者を中心とした数万人規模のデモが発端となり、親ロシア路線のヤヌコビッチ大統領の政権が崩壊した。ヤヌコビッチ氏は巨額の汚職に加え、欧州連合(EU)との連合協定への調印を拒否したことで反発を招いた。

ウクライナがロシアの影響下に引き戻されることへの不安や、欧州国家としてのアイデンティティーを求める声が、自然発生的な運動につながった。国家が透明性と説明責任を欠いていた点も共通する。

セルビアのデモ隊も自分たちの活動方針について、民主主義制度の整備と司法の独立、報道の自由、市民的自由の保護を求める点で「欧州的」だと主張した。

セルビアのケースでは、学生運動の成長過程が他国の参考になるかもしれない。

活動家のブレザ・ラツェ・マクシモビッチ氏とスルジャ・ポポビッチ氏は昨年、米学術誌ジャーナル・オブ・デモクラシーにこう書いた。「ボランティアのメンバーが物流管理、安全、法的支援、デジタル通信をまとめる各部会に分かれていた。IT専攻の学生が通信や連携の安全を確保する暗号化プラットフォームを開発し、法学生や弁護士が拘束されたデモ参加者を支援する法的ネットワークを立ち上げた」

その結果、「分散的でありながら高度に連携した特性」が備わったと、両氏は続ける。「リーダーは置かない構成になっている。学生集会は水平型モデルで運営され、毎晩の全体会議で戦術を提案、議論して採決にかける」

強権国家に立ち向かう状況では、これがうまく機能したかもしれない。国家が指導者を逮捕しようとしても、指導者は存在しなかった。だが今後、政府という形に変わるのは簡単ではないだろう。ハンガリーの野党はマジャル・ペーテル氏の下でしっかりと統制が取れていたが、その状態とは大きく異なる。

新興の運動を待ち受ける課題は手ごわい。何らかの統治経験を有する候補者はほとんどいない。総選挙の候補者名簿は、ほぼ無名の学者や弁護士、スポーツ選手、農業従事者、芸術家らで構成されていた。

ただし、EUからの応援はある。EUのフォンデアライエン欧州委員長は26日、学生リストの勝利に祝意を表し、「法の支配と報道の自由、汚職との闘い、強力な民主主義制度に基づく改革を支援する用意ができている」と述べた。

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本稿はCNNのティム・リスター記者による分析記事です。

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