feature-top

(CNN) 2008年~23年の間に死亡した米プロフットボールリーグ(NFL)の元選手は、約4人中3人が慢性外傷性脳症(CTE)にかかっていたという研究結果が28日のJAMAネットワーク・オープンに発表された。

CTEは、アメリカンフットボールやサッカー、ホッケーといった身体接触を伴うスポーツで頭部に繰り返し受けた衝撃との関係が指摘されているほか、爆発で外傷を負った兵士や、ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者も発症することがある。脳内ではそうした損傷によってタウたんぱく質の異常蓄積が発生し、症状が現れる何年も前から変化が始まっている可能性がある。

CTEの診断は死後にしか確定できない。しかし、うつや不安、記憶障害、衝動が抑えられないなど、認知症と共通する症状を伴うことが分かっている。

過去の研究では、研究用に脳を献体した元NFL選手の99%にこの疾患が確認されていた。ただ、元選手の脳を献体した遺族は生前から症状に気付いていた可能性があり、潜在的な偏りが生じるという点でこうした研究には限界があった。

8月に発表された研究では、2016年~21年の間に死亡した元NFL選手のうち、少なくとも4人に1人がCTEを患っていたと報告していた。この研究は死亡診断書のデータを基に、死亡した元選手の数と、CTEが確認された脳提供者の数を比較していた。

これに対して今回の研究は、症状に気付いていなかった人や脳を献体していなかった人も含め、より幅広い元選手を対象としてCTEの有病率を推定する目的で、米ボストン大学CTEセンターの研究チームが実施した。

研究チームは神経損傷と外傷性脳症に関する脳バンクのデータと、元NFL選手に関する全米死亡インデックスの記録を組み合わせて利用。脳を献体した選手としなかった選手の両方を含め、2008年1月~23年12月までの間に死亡したNFL選手について調べた。

この間に死亡した選手2362人のうち、脳を献体していたのは396人。うち93.5%にあたる362人がCTEと診断されていた。調査対象とした選手のうち約70%は死亡時の年齢が70歳以上だった。

次に、調査対象とした2362人の死亡診断書を調べた結果、認知症に関連した症状のあった元選手は症状がなかった元選手に比べ、脳の献体が5倍に上っていたことが判明。症状が重い選手や若いうちに死亡した選手の方が、遺族による献体が多い傾向があることが分かった。

研究チームはそうした傾向を考慮して脳が献体された元選手の罹患(りかん)率を調整し、元選手全体に当てはめた。

この結果についてNFLは、「フットボールの安全性を高めるため、脳振盪(しんとう)や頭部の衝撃を減らす戦略を導入するなどの取り組みを継続している」とコメントしている。

今回の研究を発表したボストン大学CTEセンターのヨルゴス・トリポディス氏は、脳内にCTEの兆候があったとしても、全ての選手に症状が表れるわけではないと強調する。

「元NFL選手は一般の人に比べ、認知症の有病率が4倍に上ることを我々のデータは示唆している」「有病率は高いものの、誰もが発症するわけではない。症状があったとしても、誰もが人生の終盤に最も重い状態になるわけでもない」

トリポディス氏はそう語り、「生存している患者のための診断基準の特定や、治療法の発見に向けた臨床試験の設計は大きく進化している」と指摘した。

This is the title
This is the content
Ok
Cancel