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 バングラデシュでは、まだ衛生的なトイレがない家庭がたくさんあります。汚れたトイレは、いやなにおいや虫が発生するだけでなく、病気が広がる原因にもなります。

 小学6年生のディギさんも、くさくて、虫が飛びかう自宅のトイレに悩んでいました。しかもそのトイレは、毎日母親と料理をつくっている台所のすぐそばにあるのです。学校で「清潔なトイレを使い、衛生状態を保つことが大切」と教わったディギさんは、すぐに両親にきれいなトイレが必要な理由を説明しました。でもなかなか理解してくれません。「お金がなかったし、きれいなトイレのよさもよくわかっていなかった」と市場で野菜売りをしている父親のマゼドさんは振り返ります。

 そのころ村では、モネカさんという女性が始めたトイレ販売店が評判になっていました。ユニセフが支援する衛生研修に参加したモネカさんは、村で汚れたトイレが感染症の原因になっていることを知り、清潔なトイレの仕組みや設置方法などを学びました。そして、村の人たちが衛生的なトイレを手に入れやすくするため、トイレを販売する仕事を始めたのです。

 ディギさんはさっそく父親とモネカさんの店を訪れ、並んだ商品の中からピンクの花模様が入ったタイル張りのトイレを見つけると、父親に買ってほしいと頼みました。

 後日、新しい衛生的なトイレが家に設置されると、ディギさんは病気で学校を休むことも減り、勉強にも集中できるようになりました。「将来は医師になりたい」。クラスで2番の成績を誇る彼女はいま、希望に胸をふくらませています。

 ユニセフは、トイレを配るだけではなく、地域の人たちが手ごろな値段で衛生的なトイレを買えるしくみづくりを進めています。モネカさんのような人にトイレづくりの技術や衛生について教えたり、住民に清潔なトイレの大切さを伝えたりしています。こうした取り組みは、子どもたちが健康で安心して暮らせる地域づくりにつながっています。<協力・日本ユニセフ協会 タイトルカット・陽魚>

・国名 バングラデシュ

・首都 ダッカ

・面積 14万8460平方キロメートル(日本の約4割)

・人口 1億7356万人(日本の約1.4倍、2024年推定)(世界年鑑2025年)

・5歳未満児死亡率 1000人あたり31人(2023年)

・最低限の基礎的衛生設備(トイレ)サービス 68%(日本は100%)

 ユニセフ(国連児童基金)とユニセフ協会(国内委員会)は、すべての子どもの命と権利を守るため、約190の国と地域で活動しています。日本ユニセフ協会は、国内で募金や広報活動などをしています。

 東京都の品川駅から徒歩7分のユニセフハウスでは、展示を通して、この連載に出てくるような世界の子どもたちと出会い、子どもの権利について学び、考えることができます。QRコードからも展示内容を見られます。

 戦争、災害、貧困……。厳しい環境の中で生きる、世界の子どもたちのいまを知り、私たちに何ができるのか考えるコーナーです。

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