(CNN) 米SFドラマ「スター・トレック」のオリジナルシリーズや多くの映画版で、陽気なロシア人宇宙船航海士のパベル・チェコフを演じた俳優ウォルター・ケーニッグさんが死去した。90歳だった。
代理人がメールで明らかにしたところによると、ケーニッグさんは25日、「ノースハリウッドの自宅で老衰のため」息を引き取った。
ケーニッグさん演じるチェコフは、マッシュルームカットをアレンジした髪型と強いなまりが特徴。宇宙船エンタープライズ号に欠かせない乗組員として人々の記憶に残っている。ただ実際には、チェコフが番組に加わったのは第2シーズンからだった。番組の生みの親であるジーン・ロッデンベリー氏が、若く魅力的な男性キャラクターを加えたいと考えたのがきっかけだ。
ケーニッグさんはスター・トレックのDVDに特典として収録されたインタビューで、「彼らはデイビー・ジョーンズやモンキーズのように熱狂的なファンを生み出せるキャラクターを探していた」と振り返っている。
チェコフが番組に初登場したのは、冷戦まっただ中の1967年。米国とソ連の間で緊張が高まっていた時代に、誇り高いロシア人キャラクターを「正義の味方」の1人として登場させた演出は斬新だった。ロッデンベリー氏が高く評価したのはケーニッグさんの若さあふれる風貌(ふうぼう)だったが、実際には、ウィリアム・シャトナーさんやレナード・ニモイさんといったスターと5歳しか違わなかった。
ロッデンベリー氏は制作陣に宛てた1968年のメモで、「エンタープライズ号にはどうしても若い男性が必要。若者らしい姿勢や視点が必要なんだ」と記していた。
ケーニッグさんはシカゴ生まれ。リトアニア移民の両親の下に米国で生まれた移民1世だ。2013年に米テレビ史を振り返るプロジェクト「アーカイブ・オブ・アメリカン・テレビジョン」のインタビューで語ったところによると、生後数カ月の時、通訳をしていた父親の仕事のため家族で欧州に移住した。しかし、ケーニッグさんが乳児疝痛(せんつう)を患ったため、米国に戻ったという。
ケーニッグさんはニューヨークの伝説的な演劇学校「ネイバーフッド・プレイハウス」で、ジェームズ・カーンさんやクリストファー・ロイドさんらと共に演技を学んだ。実年齢よりはるかに若い脇役をいくつか演じた後、チェコフ役で初めてテレビの大役を射止めた。1963年には長寿ドラマ「ジェネラル・ホスピタル」の放送第1週に端役で出演したこともある。
初期に演じた役の一つが、比較的短期間で終わったドラマ「ミスター・ノバック」の若いロシア人亡命者役だった。この出演がきっかけで、誇り高いロシア人キャラクターを求める制作陣の目に留まることになった。
チェコフ独特のなまりには賛否両論が寄せられたが、ケーニッグさんは、なまりをいい加減に演じていたと思われることには反発していた。
ケーニッグさんは自伝の出版社ジェイコブズ・ブラウン・プレスのインタビューで、「大学でロシア語を勉強している人からは『あなたの発音は全然違う』と言われたものだった」「父はリトアニア人だった。第一言語はロシア語で、私は父から話し方を覚えた」と振り返っている。
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