(CNN) オーストラリアのマールズ国防相はこのほど、F35戦闘機の部品が誤って香港に送られていたことを明らかにした。機密性の高い米国の軍事技術が中国に渡る可能性が懸念されており、これより前、米国の議員が調査に乗り出していると報じられていた。
マールズ氏は22日、南部アデレードで記者団に「この件については認識している。当然、米国やロッキードと連携して、どうすれば調査に協力できるか確認を進めている」と説明した。
米政治専門サイト「ポリティコ」は先週、事情に詳しい3人の話として、修理のためオーストラリアから米国に送られるはずだったF35の部品が今年夏、途中で別ルートに変更されたと最初に報じていた。
ポリティコによると、これらの部品はF35を製造するロッキード・マーチンに代わり、仲介業者が輸送していた。
なぜ輸送ルートが変更されたのか、どういった経緯で中国の特別行政区である香港に到着したのかは、現時点では不明だ。
米国の当局者はかねて、F35の設計情報を含め、米国の先端兵器に関する機密情報を入手する中国の能力に懸念を示していた。
米空軍は6月の報告書で、軍事力増強を積極的に進める中国が、いかにつぶさに米国の進展を注視しているかを詳述。中国は米国の優位性を模倣しようと試みつつ、ステルス機や対ステルス防空システムの開発を拡大していると指摘していた。
国防総省は22日、一部の部品が行方不明になっていることを認めた。国防総省の報道官はCNNに、省内のF35統合開発室が「使用不能になったF35ライトニングIIの部品の輸送を巡る問題を把握している」と明らかにした。
第5世代戦闘機のF35「ライトニングII」を巡っては、世界で最も先進的な戦闘機との見方が多い。ロッキードは「最も高い攻撃力と生残性、ネットワーク接続能力を備えた戦闘機」とうたっている。
国防総省の報道官はCNNに「これらの部品を回収して事案を調査し、再発防止策を講じるべく、米当局や業界のパートナーと積極的に連携している」と語った。
マールズ氏は22日、行方不明になった貨物に機密性の高い部品は含まれていなかったとの認識を示した。
ロッキードはCNNへの声明で、安全保障上の理由から輸送の状況については説明できないとしたうえで、米国防総省と国防兵站(へいたん)局が定める規則に従っているとした。
「我々のチームはF35計画の健全性や協力するパートナーの安全を確保するため、最大限の注意と安全対策をもってすべての輸送に当たっている」
CNNは米国務省と上下両院の軍事委員会に問い合わせている。香港政府はCNNへのコメントを控えた。香港の米領事館はCNNに、国務省に照会するよう促した。
中国外務省と国防省の当局者は24日、別々の記者会見で、今回の状況については「認識していない」と述べた。
ロッキードのサイトによると、オーストラリアは2014年に最初のF35を受領し、25年に空軍が完全な作戦能力を獲得した。オーストラリア空軍が運用するのは三つある派生型のうちのF35A。F35Bは短距離離陸・垂直着陸型で、F35Cは空母での運用を想定している。
米空軍の元将校でCNNの軍事アナリストを務めるセドリック・レイトン氏は、今回の事態がどれほど深刻かは、正確にどの部品が含まれていたかに大きく左右されると指摘した。
仮にステルスコーティングが施された金属部品が含まれていれば、敵対国に機密性の高い情報が渡る可能性があるという。
レイトン氏は「レーダー反射断面積を最小限に抑える部品はどれもそうだ。私なら、そういったものを機密性が高いとみなす」と述べた。
レイトン氏によると、F35計画の拡大に伴い、本来渡るべきでない相手に機密技術が渡る可能性も高まる。
「どれほど優れた厳格な安全手順であっても、人為的なミスや何らかの過失によって、どこかで破綻(はたん)が生じる可能性は残る」(レイトン氏)
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