(CNN) ディーゼル燃料(軽油)価格が記録的な高値を付け、中間選挙まで2カ月を切るなか、トランプ米大統領は、ウクライナ戦争終結に向けた不安定で実を結ばない取り組みへと回帰している。それは被害者を責めるという手法だ。そしてそのタイミングはウクライナにとって最悪である一方、ロシアにとってはまたとない好機となっている。
「(ウクライナ大統領の)ゼレンスキー氏がやらなければならないことは一つだ。ロシアのディーゼル燃料の破壊をやめなければならない」。トランプ氏は13日、記者団にそう語った。「世界に打撃を与えている」
トランプ氏の姿勢は、控えめに言っても一貫性を欠いている。情報筋がCNNに語ったところによれば、米国は1年足らず前、ウクライナがロシアのエネルギー施設を攻撃できるよう情報共有を拡大していた(当時の原油価格は低かった)。また、トランプ氏はわずか1週間ほど前、イラン戦争が終わればガソリン価格は下がると主張したが、そのときはウクライナ戦争に触れていなかった。
またアナリストによれば、ウクライナがロシアの製油所への攻撃をやめれば価格問題が解決するとの主張も正しくない。テキサス州に拠点を置くリポウ・オイル・アソシエーツのアンディ・リポウ氏は、ウクライナの攻撃を受けたロシアの禁輸措置によって市場から失われたディーゼル燃料は1日当たり80万バレルと推計しているが、ホルムズ海峡の閉鎖が与える影響は1日当たり120万バレルに上る。
最も悪く言えば、これはウクライナに対する新たな裏切りだ。ウクライナは防空能力が決定的に不足するなか、残された数少ない手段の一つを使っている。それはロシア領内で軍事機構と、それを動かすエネルギー資源を攻撃することだ。ほぼ絶え間なく続くロシアのドローン(無人機)やミサイルによる攻撃のさなか、ロシアが公然と武器化をたくらむ冬を前に、この裏切りはいっそう痛みを伴う。
トランプ氏は14日、SNS「トゥルース・ソーシャル」で、ロシアとウクライナ双方が互いのエネルギー施設への攻撃を停止することで合意したと主張した(実際のところ、していなかった)。その後に続く反応のなかでクレムリン(ロシア大統領府)は、事実を鮮やかにねじ曲げてみせた。
まずは単純な戦術だ。ロシアのペスコフ大統領報道官はトランプ氏を懐柔するためとみられる発言の中で、この提案を「非常に良い考え」と評し、「われわれは米国側と連絡を取っている」と付け加えた。そして、ウクライナを悪者に見せるためにいつもの作り話も持ち出した。「われわれは常に平和的な解決を支持している」
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