(CNN) 英歌手エド・シーランのワールドツアーが危機的な状況に陥っている。発端は前座を務めたラッパーのマックルモアが、米ニュージャージー州の公演でパレスチナ支持を訴えたことだった。この発言を理由にマックルモアが降板させられたことに抗議して、残る出演者も次々に出演辞退を表明している。
米NFLチーム、ニューイングランド・ペイトリオッツのオーナーで富豪のロバート・クラフト氏は14日、米マサチューセッツ州のスタジアムで今月予定されている公演にはマックルモアを出演させないと表明した。マックルモアは、今後米国内で予定されているシーランの全ツアーで自分が排除されたと明らかにした。
15日には、プロデューサーを務めるフィニアス、アイルランドのシンガー・ソングライターのアーロン・ロウ、アイルランドのバンド「ベオガ」、デンマークのバンド「ルーカス・グラハム」も、マックルモアとパレスチナの人々を支持して出演を辞退すると表明した。
フィニアスは「抑圧された人々のために声を上げるアーティストを沈黙させることがあってはならない」とインスタグラムに書き込んでツアー降板を表明した。「私はパレスチナと、パレスチナの人々と共に立つ」
2012年のヒット曲「スリフト・ショップ」で知られるマックルモアは、イスラエルが23年10月7日の襲撃を受けてパレスチナ自治区ガザに対する大規模攻撃を開始して以来、公の場でパレスチナ人の権利を訴え続けてきた。ニュージャージー州のメットライフ・スタジアムで行われたシーランのツアーには、パレスチナの伝統の白黒のスカーフを着けて前座に登場した。
「そもそも私がこのツアーに参加したのは、こうしてスタジアムに立ち、自分が心から大切にしている『パレスチナに自由を』の言葉を伝えたかったからです」。マックルモアは壇上でそう語り、「ユダヤ人の兄弟姉妹の皆さん、イスラエル批判やアパルトヘイト(人種隔離)批判、ジェノサイド(集団殺害)反対は、決してあなた方に対する批判ではありません」と呼びかけた。
マックルモアは23年以来、パレスチナ支持の集会で何度も公演を行っている。24年にリリースした「ヒンズ・ホール」は、コロンビア大学の学生デモ隊に占拠され、ガザでイスラエル兵に殺害された5歳のパレスチナ人少女ヒンド・ラジャブさんにちなんで改名された建物の名にちなむ。
今回の公演での発言に対しては米ポップ歌手のピンクが反発し、マックルモア出演に反対する署名運動が巻き起こった。マックルモアは14日、自身のインスタグラムへの投稿で、シーランの今後の全米ツアーから降板させられたと発表した。
この中でマックルモアはクラフト氏を名指しで批判。マックルモアによれば、公演会場のジレット・スタジアムのオーナーであるクラフト氏が他のオーナーにもはたらきかけて、シーランに対して「もしマックルモアがツアーに残り続けるのなら、我々の会場では演奏させない」と通告したという。
親イスラエルのクラフト氏は、ガザの戦争に対する抗議運動をめぐるコロンビア大学の対応を批判して同大への寄付を撤回した人物。同氏は声明を発表し、ジレット・スタジアムで予定されていたマックルモアの出演を中止させたことを確認した。
シーランは15日、「マックルモアの降板は、私ではなくプロモーターの判断だった」とインスタグラムに投稿した。
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