【9月8日 AFP】アンディ・バーナム英首相は、デモ隊が不法移民の到着を阻止しようとしたのを受け、与党・労働党の議員らに対し、「英国社会に浸透する毒の政治(政策の議論ではなく、人格攻撃または恐怖や怒りをあおることによって社会を汚染していく政治風土)」を止めるよう呼び掛けた。地元メディアが7日、報じた。
反不法移民デモは、当局が小型ボートによる新たな不法入国ルートになりつつあると危惧しているイングランド南部の一角で発生した。
PA通信によると、バーナム首相は非公開会合で労働党議員らに向けて演説し、同党の使命は「前向きさと希望をもって恐怖に対抗すること」でなければならないと主張。
「われわれには、自分たちが生きているこの時代において果たすべき責任がある。英国社会に毒の政治が浸透するのを防ぐことは(国を預かる者としての)重大な責任だ」と述べた。
近年、大勢の不法移民が粗末な船で英仏海峡を渡っており、その多くは最も狭い仏カレーと英ドーバーの間を渡っている。
英沿岸警備隊は6日、不法移民140人を乗せたボートを救助した。フランス当局によると、このボートはカレーから南西に数百キロ離れたノルマンディー地方のセーヌ湾を出発したという。
同日夜、黒い服装をして覆面を着用したデモ隊約200人が、ドーバーのはるか西に位置するハンプシャー州ポーツマスで不法移民の下船を妨害した。
SNSに投稿された映像によると、デモ隊が道路を封鎖する中、暴徒鎮圧用の盾を装備した警官隊が、不法移民を受け入れ施設に連れて行くためのバスの周囲に警戒線を張った。
当局によると、デモ隊は7日午前4時ごろに解散し、不法移民は無事に移送されたという。
英内務省の報道官は声明で、「昨夜ポーツマスで見られたような、脅迫的かつ悪党のような振る舞いを非難する」「平和的な抗議デモを行う権利はわが国の民主主義の基礎となるものだが、一線を越えて無秩序になることがあってはならない」と述べた。
6日夜のデモは、5日に覆面をした大勢の男たちがドーバー港を数時間にわたり封鎖したのに続き、先週末2件目の大規模な反不法移民デモとなった。
これらの反不法移民デモは、極右活動家トミー・ロビンソン氏(本名スティーブン・ヤクスリーレノン)の側近であるダニエル・トーマス氏(通称ダニー・トモ)によって設立された「愛国者プラットフォーム」と称するグループが開催したもの。
トーマス氏は両方のデモをSNSでライブ配信した。
■設備が整っていない
ハンプシャー州に不法移民が乗った小型ボートが到着するのは珍しい。
地元選出のジョー・ロバートソン下院議員(保守党)はX(旧ツイッター)への投稿で、「不法移民の海峡横断がこれほど西方で起きたことは非常に懸念される」「何が起きたのか、そして密航業者によって大型ボートの新しいルートが使われているのかどうかを解明する必要がある」と記した。
ハンプシャー州およびワイト島を管轄する警察・犯罪コミッショナーを務めるドナ・ジョーンズ氏は声明で、ポーツマスは「このような方法で入国する人々を受け入れ、手続きするための設備が整っていない」と指摘。
「政府はこのような事態の再発を防ぐため、英国南部の海岸の安全を確保する必要がある」と付け加え、6日夜の反不法移民デモが「リソース、特に警察力を圧迫した」と述べた。
英政府高官は報道陣に対し、現段階で英仏海峡横断をあっせんする密航業者が戦略を変更したことを示す「証拠はない」と述べた。
英イングランド南東部の海岸には毎年数万人の不法移民が上陸しており、同国は危険な小型ボートでの英仏海峡をどのように抑止するかという課題に直面している。不法移民の多くは、戦争や飢饉(ききん)を逃れてきた難民認定申請希望者だという。
政府のデータによると、英国への移民の圧倒的多数は正規のルートを通って合法的に入国している。(c)AFP
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