30年ぶりの長期金利3%超、アメリカの危機感も表面化しており、30年前とは違う深刻さがあるようです。
■長期金利上昇の理由は「高市政権の『積極財政』に対する市場の警戒」
⻑期金利が上がることで暮らしや経済に直接影響するのは、住宅や車などを固定金利のローンで購入する際の利子負担が増えることです。
そして、企業もお金を借りる際の利子負担が増えるため、設備投資がしづらくなることなどがあります。
この「⻑期金利」の代表的な指標となっているのが、「10年物国債の利回り」です。
国は、税収で足りない分の資金を調達するために国債を発行して借金をしますが、「10年物国債」は、10年後の返済まで毎年利息を払います。その利率が⻑期金利となります。
国債の市場価値が高ければ、金利が低くても買い手が付きますが、市場価値が低くなれば、金利を高くしないと買い手がつかないので、⻑期金利が上がることになります。
今なぜ、日本国債の価値が落ちて⻑期金利が上がっているのでしょうか。
日銀出身のエコノミスト、ABC経済研究所の熊野英生代表は、「最大の要因、高市政権の『積極財政』に対する市場の警戒」を指摘します。
4日、政府の来年度予算の叩き台となる概算要求が、過去最大の143兆円であることがわかりました。
熊野さんは、税収などの足りない分は約43兆円とみていて、新たな国債の発行などで賄う必要があるといいます。さらに政府は、食料品の消費税を1%に下げる方針ですが、減収分の財源も決まっていません。
こうした政策によって国債の発行が増えることを市場が警戒し、国債の買い手が付きにくくなったため、国債の市場価値が下がり、⻑期金利が上がってきたというのです。
■同じ長期金利3%でも30年前と比べて「4倍」の負担
⻑期金利が3%を超えたのは、30年ぶりのことです。
30年以上前には、長期金利がさらに高い時もあったので、3%ぐらいなら問題ないようにも見えますが、同じ3%でも、今は30年前と状況が大きく違います。
国債など国の借金残高は当時の4倍に膨れ、国債の利払いは1.5倍に増えています。
今後金利が上がれば、利払いの費用がさらに増え、その費用を調達するために新たな国債を発行するといった悪循環に陥りかねません。
また経済が順調に成長すれば、税収も増え、借金も返しやすくなりますが、経済成長率は30年前の3分の1に下がっています。
30年前と比べて、日本経済の元気がないにもかかわらず、4倍の重荷を背負っているような状況なんです。
どうすれば、この⻑期金利の上昇を抑えられるのでしょうか。
熊野さんは、「高市政権が『責任ある積極財政』を掲げるなら『責任』の部分を示すべき」だと指摘します。具体的には、▼概算要求の143兆円を、来年度予算で130兆円程度まで削る。▼消費税減税の財源を示す。
市場に対し、財政を立て直す姿勢を示すことが必要だといいます。
さらに、日銀の金融政策として、「短期金利の引き上げも重要」だと指摘しています。
短期金利を引き上げれば、一時的には⻑期金利も連動して上がる可能性がありますが、中⻑期的には、⻑期金利を抑える効果があるといいます。
日本は、アベノミクスによる異次元の金融緩和で、⻑い間、短期金利がほぼゼロに抑えられてきました。そのため円の価値が下がり円安が進みました。
逆に、短期金利を引き上げれば円の価値が高まるので、円建ての日本国債の価値も上がり、⻑期金利は下がることになるのです。折しも、この“日銀の利上げ”はアメリカ‧ベッセント財務⻑官も求めているとされ、外圧も強まる中で日本側の対応が注目されます。
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