(CNN) ネパールと中国のチベット自治区の国境付近で26日、壊滅的な鉄砲水が発生した。原因はまだ明らかになっていない。地球温暖化が進む中、ネパールは気候災害が多発する地域となっている。
夏に広大な範囲の氷河が溶け、標高の高い山岳地帯に巨大な湖を形成すると、水が下流へ放出されることがある。さらに、気候変動による極端な豪雨が死者を伴う洪水を引き起こす可能性も高まっている。
科学者らは今回の災害原因の特定を進めている。これまでに分かっていることは以下の通り。
同地域では現地時間午前8時37分ごろ、揺れが発生。米地質調査所(USGS)は当初、ネパールの首都カトマンズ北方の中国との国境沿いでマグニチュード(M)4.4の地震が発生したと発表した。
ほぼ同じころ、氷と岩の地滑りに近い「雪崩」が山腹を猛スピードで下り、ボテコシ川の支流に流れ込んだ。ボテコシ川は中国からネパールへ流れ、深い峡谷を通る箇所も多い。
正確な原因の特定には数週間かかるが、巨大な氷河の塊が山からはがれ落ち、峡谷に落下したとみられている。
USGSはその後、揺れは、地震ではなく、この極めて強力な地滑りそのものが引き起こしたもので、その規模はM5.2の地震に相当すると説明した。
つまり、地震が氷河の地滑りを引き起こしたのではなく、地滑りが地震を引き起こしたのだ。
科学者らは、氷と岩が混ざり合い滝のように山を流れ落ちる途中で、季節風(モンスーン)の時期のためにすでに大量の水を含んでいた堆積(たいせき)物を巻き込んだとの仮説を立てている。
地滑りはさまざまな要因によって引き起こされる可能性があるが、気候変動が関与していることも多い。急速に温暖化が進むヒマラヤ地域に位置するネパールには数千の氷河があり、気温上昇に伴って融解し、不安定化している。
カリフォルニア大学の地質学者ダニエル・シュガー氏によると、気温の上昇によって雪解け水が氷河や山の岩石の亀裂に入り込み、それらをもろくさせたことが、地滑りの発生を早めた可能性がある。
ネパールは「氷河湖決壊」に特に脆弱(ぜいじゃく)だ。これは、氷河が溶けてできた巨大な湖が満水の状態になり、水をせき止めている地面や氷を突き破って、水やがれきが急な山腹を一気に流れ落ちる現象だ。
最近の研究によると、ネパールを含むヒンドゥークシュ・ヒマラヤ地域では、氷河から氷が失われる速度が2000年以降、倍になっており、川下に暮らす約200万人に甚大なリスクをもたらしている。
昨年、同地域で起きた同様の洪水は、隣接するチベットでの氷河湖決壊が原因だったことが分かっている。ただし専門家らは、今回の事象で氷河湖決壊が何らかの役割を果たしたかどうかについて見解を示していない。
その可能性は極めて低いと考える専門家もいる。ドイツ・ベルリン自由大学のボルフガング・シュバングハルト教授はCNNに「衛星画像は洪水の流路の上流に大きな湖は存在しないことを示しており、氷河湖決壊の可能性は除外できる」と述べた。
最近の気象状況が大きな役割を果たした可能性は低い。
CNNウェザーの分析によると、同地域付近ではこの1週間、広範囲にわたる激しい降雨は観測されていない。
ただし、モンスーンによる嵐のため、夏は年間降雨量が最も多い時期でもある。こうした季節的な雨とここ数カ月の雪解けが重なり、河川の水量が増えていた可能性は高い。
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