ニューヨーク(CNN) 米国のベッセント財務長官は24日、イランから原油を購入する国々に対し、ノルマンディー上陸作戦になぞらえた「経済版Dデー(決戦の日)」を仕掛けると宣言した。専門家によれば、これは特にある1カ国を意味する。中国だ。
ベッセント氏は中国の名前こそ挙げなかったが、疑いの余地はほとんど残さなかった。
「各国と関わる最善の方法は、穏やかな外交を通じて行うものだと考えており、すべての国と認識をすり合わせ、私たちの期待することを伝えている」と述べ、「私たちはそれがどの国か分かっている。相手も自分たちのことだと分かっている」
しかし、ベッセント氏の警告が中国を標的としている可能性がある一方、その影響は世界中に及ぶ恐れがある。米国の消費者でさえ自国のエネルギー価格の上昇に直面しうる。
ある分析によると、イランは2025年9月に39億~42億ドル(約6200億~6700億円)相当の原油を輸出した可能性が高い。その大半は、世界最大のエネルギー消費国である中国が購入している。
米中経済安全保障審査委員会は今年、「中国はイランの原油輸出のおよそ90%相当を購入し、イランに年間数百億ドルの収入をもたらし、政府予算や軍事活動を支えている」と指摘した。
24日の発表についてベッセント氏は「警告射撃」だとしている。複数の団体や個人を制裁対象としたものの、特定の国々を狙った広範な措置は発表しなかった。
中国外務省の林剣副報道局長は同日、「制裁や圧力という手段は問題解決の助けにならない。誰の利益にもならないエスカレーションを招くだけだ」と反発した。
林氏は定例記者会見で、中国が独自の措置を取る可能性も示唆。「中国は関連する動向を注視し、自らの権利と利益を死守するため、必要なあらゆる措置を取る」
野村証券の4月の報告書によると、中国の原油の38%と液化天然ガス(LNG)の23%はホルムズ海峡を通過している。
中国はすでにイラン産原油の購入を減らしている。エネルギー分析会社ボルテクサのエマ・リー氏によると、戦争前のイラン産原油の輸入量は日量約140万バレルだったが、製油所の稼働率の抑制や国内在庫の取り崩しにより、ここ数カ月は約70万バレルまで落ち込んでいる。
専門家はイラン産原油の輸入が完全に停止しても、中国の石油安全保障全体への当面の影響は限定的だとの見方を示す。
しかし、新たな制裁はトランプ政権と中国との不安定な関係をさらに悪化させかねない。両国は昨年、激しい貿易戦争を繰り広げ、最近では制裁の応酬を復活させている。
「イランが活動資金を調達し続ける能力に本当に打撃を与えたいのであれば、中国は圧倒的に最大の影響力を持つ相手だ」と、米シンクタンク、アトランティック・カウンシルの非常勤上級研究員、ダニエル・タンネバウム氏は以前CNNに語った。
「米国の制裁の及ばない者はいない」とベッセント氏は述べる一方で、あらゆる決定についての期限を明示することは避けた。習近平(シーチンピン)国家主席は来月、訪米する見通し。
ベッセント氏は「期限を設定するつもりはない。しかし、我々の忍耐には限りがある」と警告した。
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