8月半ばを過ぎても、寝苦しい夜が続いています。皆さんきちんと眠れていますか。
7月5日(一部地域は6日)の毎日小学生新聞の「ぱぴぷぺぽ」で聴覚に障害のある千田あかり記者が「夢」や「睡眠」について、興味深い体験を紹介していました。そこで、目の見えない私が、どんな夢を見るのかなどについて書いてみようと思います。
左目だけが少し見えていた小学生の頃、私の夢に出てくる人たちの姿や顔は、起きている時と同じくらいしか見えませんでした。どんな柄の服を着ているのか、目や鼻、口の形はどんな感じなのかなど全くわかりませんでした。景色もぼんやりしていました。ところが、怖い夢によく出てきた妖怪の姿や顔はアニメのキャラクターのように鮮やかに見えました。顔が白くて頭は黒く、ピンク色の体中に黒い斑点がたくさんありました。今、思い出してもドキドキします。
私は中学生の時に目がほとんど見えなくなりました。光もわからなくなった今でも夢を見ることは多いです。どんな場面の夢なのかは、聞こえてくる人の声や指先の感触などからつかめます。においを感じることはありません。たびたび見る夢は、東京の盲学校で学んでいた高校生の私が、教室や寮の部屋で同級生たちと楽しく話している場面です。
皆さんは、朝起きるために目覚まし時計やスマートフォンのアラームを使っていますか。私は本体のボタンを押すと、時刻を声で知らせてくれる手のひらサイズの時計のアラームを自分でセットして寝ています。この時計には、本体が震える長さや回数で時刻などを知らせてくれる機能が付いています。目が見えなかったり見えにくかったりして、さらに耳が聞こえなかったり聞こえにくかったりする盲ろう者と呼ばれる人たちにも使えるように作られています。アラームを設定した時間になると、本体がブルブル震えて知らせてくれます。
私は朝、目覚めた時は、指先に感じるシーツや顔が触れている掛け布団などで自分がどこで寝ているのかに気づきます。次に耳に入ってくる鳥のさえずりや車の音、家族が廊下を歩いている音などから詳しい状態を思い出していきます。
眠りといえば、今年2月、睡眠を専門にしている精神科医・渥美正彦先生の講演を取材しました。渥美先生は目が見えづらい弱視です。京阪神に住む見えない・見えにくい人たちの集まり「三都の会」で、快適に眠るための方法についてお話しになりました。
渥美先生によると、目が全く見えない人は、目が見える人より眠ることに悩んでいる人がかなり多いそうです。睡眠の調整には光を感じることが関係しているからだそうです。それを解決するため、朝ご飯を午前8時までに終わらせ晩ご飯を午後8時までに食べ始めて体内時計を整えること。次に1日のうちの活動の3分の1を午前中にすませ、疲れをためて眠りやすくすること。最後に、眠る時に思い浮かんだ悩み事はノートなどにメモして翌朝の自分への「プレゼント」にすれば、そのつまらなさや解決方法に気づいて眠りやすくなる、と伝えていました。
これらは、小学生の皆さんにも効果があるそうです。
暑い夜はまだまだ続きます。寝心地の良い秋が早く来ることを心待ちにしましょう。
◆コラム
渥美正彦先生は、2017年から動画投稿サイトのユーチューブで、睡眠についての疑問に答える発信を続けています。登録者は20万人という人気チャンネルです。8月21日には、大阪市内で開かれる西日本最大級の視覚障害者向け展示会「日本ライトハウス展」の特別ステージで、「見えない・見えづらい人のための快眠ライフハック術」と題する講演を予定しています。
1973年生まれ、大阪府出身。生まれた時から目が見えにくく、中学生の時にほとんど見えなくなる。神戸市外国語大学大学院外国語学研究科(英語学専攻)を修了。2005年に毎日新聞社に入社。趣味は食べることとアニメ観賞。
「あなたらしく」では、さまざまな人を理解し尊重するとともに、自分自身も大切にできるような視点を伝えます。タイトルは、ダウン症のある鈴木俊太朗さんが描きました。
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