国際自然保護連合(IUCN)は9日、熱水が噴き出す深い海の底にだけすむ貝類などの軟体動物の6割が、鉱物資源を掘り出す計画によって絶滅の危機に直面していると発表しました。こうした海域には金や銅、亜鉛などを含む「海底熱水鉱床」があります。専門家は「深海採掘は生き物のすみかを破壊する。数が減るどころか絶滅もあり得る」と話します。【荒木涼子、高橋由衣】
IUCNは専門家チームと協力して、地球の中の熱で温められた水がわき出す「熱水噴出孔」だけにすむ、固有の軟体動物のいる場所やその場所で採掘される可能性などを調べました。そして、種ごとの絶滅リスクを評価しました。
その結果、世界で201種類いる固有種(評価当時)のうち、62%にあたる125種類が絶滅危惧種と評価されました。それらのすむ場所が、各国の排他的経済水域(EEZ)や公海で計画されている熱水鉱床の探査や掘削エリアと重なっていたためです。
世界で唯一「硫化鉄のウロコをまとう生物」として知られる、インド洋にだけいる巻き貝「スケーリーフット」もその一種です。日本に近い海では、九州から台湾にかけて広がる沖縄トラフの熱水噴出孔にだけすむ巻き貝「ヨモツムギガイ」が新たに絶滅危惧種に指定されました。
採掘が始まれば、海底の堆積物が舞い上がり、プルームと呼ばれるにごりが広がります。IUCNは「プルームがおおうことで、呼吸や栄養摂取を妨げるなど動物に悪影響を及ぼす」と指摘します。
一方、採掘を禁止する海洋保護区の設定などにより、31種類の固有種が絶滅の恐れが低い「低懸念」に認定されています。このため、保護区の重要性も挙げました。
海洋研究開発機構のチェン・チョン博士は「一つ一つの熱水域はサッカー場よりも小さいが、そこでしか生きられない生き物が多い。一般的に熱水域の間は数十~数百キロメートルも離れ、採掘リスクのない他の熱水域まで逃げられない。環境影響評価や保護策は急ぐべき課題だ」と話します。
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