【5月27日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は26日、激戦が繰り広げられた南部テキサス州の連邦上院選に向けた与党共和党の予備選の決選投票で、自身が支持するケン・パクストン州司法長官(63)が現職のジョン・コーニン上院議員を破ったことで、共和党内での支配力をさらに強固なものにした。
投票締め切り後、FOXニュースやCNNが速報で伝えたパクストン氏の勝利は、トランプ氏が共和党政治家の生殺与奪(せいさつよだつ)を握る強大な権力を維持していることを改めて浮き彫りにした。これは、連邦議員たちがイランとの交戦やホワイトハウスのボールルーム(宴会場)建設プロジェクト、さらにトランプ氏の支持者向けの補償基金をめぐって反発を強め始めている中での出来事だった。
上院議員を4期を務め、共和党上院ナンバー2の院内幹事を務めたこともあるコーニン氏は、今年初めの時点では党主流派の本命と目されていた。
だが、選挙戦終盤にトランプ氏がパクストン氏支持を表明したことで流れが変わり、コーニン氏はトランプ氏と意見を異にしたことで懲らしめられた現職共和党議員の一人となった。
この結果は、11月の中間選挙を前に共和党が直面している本質的なジレンマを再び浮き彫りにした。トランプ氏の支持は予備選においては決定的な力を持ち得るが、トランプ氏が好むのは強硬右派の候補者であることが多く、党の戦略家たちは「そのような候補者は本選で弱さを露呈するのではないか」と危惧している。
パクストン氏は、共和党が主導権を握るテキサス州下院による2023年の弾劾訴追、贈収賄や不正行為の疑惑、そして泥沼化した離婚劇など、長年にわたる法的・倫理的・個人的なスキャンダルを生き延びてきた。
パクストン氏は弾劾裁判の後、テキサス州上院によって無罪評決を下されており、自身に対する疑惑については長年「政治的な意図によるものだ」と主張してきた。
対照的に、コーニン氏は堅実な保守派で、2002年からテキサス州選出の上院議員を務め、州内の有力な寄付者層や首都ワシントンの共和党指導部と深い関係を築いてきた。
トランプ氏は先週末、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」でパクストン氏を忠実な闘士として称賛し、同氏は「皆さんが大好きな大統領、つまり私」の味方であり続けたと述べる一方、コーニン氏については自身が最優先する課題のために十分に闘わなかったと不満を漏らした。
パクストン氏は、本選で民主党のジェームズ・タラリコ州下院議員と対峙(たいじ)することになる。タラリコ氏は多額の資金を集めている全米注目の新星で、現在の共和党は富裕な寄付者に傾いた「壊れた政治システム」を体現していると主張している。
テキサス州は、2024年大統領選でトランプ氏が約14ポイント差をつけて制した土地で、依然として共和党が優勢であることに変わりはない。だが民主党は、パクストン氏の方がスキャンダルという荷物を抱えている分、くみしやすい候補者とみており、共和党予備選の結果のおかげで中間選挙での歴史的な突破口を開く本格的なチャンスがめぐってきたと考えている。
パクストン氏の勝利は、共和党上院議員たちの間で不安を深める可能性が高い。共和党上院議員の多くはトランプ氏に対してコーニン氏を支持するよう促しており、本来であれば接戦になるはずのない盤石な議席を守るために、党が巨額の資金を投入せざるを得なくなるのではないかと恐れている。
共和党のジョン・スーン上院院内総務は先週、現職の上院議員を追い落とす行為には代償が伴うと警告し、トランプ氏の介入によって同氏自身の政策アジェンダを前進させることが「難しくなる」可能性があると述べた。
その懸念はすでに連邦議会で現実のものとなりつつあり、一部の共和党議員はイランとの交戦の大統領権限や、ホワイトハウスのボールルームへの資金提供案、トランプ氏の基金などをめぐり、トランプ氏に反対する動きを見せている。
だがトランプ氏にとって、今回のテキサス州での結果は、予備選シーズンにおける「復讐(ふくしゅう)ツアー」での新たな白星となった。この復讐劇は、これまでにルイジアナ州のビル・キャシディ上院議員やケンタッキー州のトーマス・マシー下院議員、さらにはトランプ氏の連邦下院選挙区の区割り変更(ゲリマンダー)の要求に抵抗したインディアナ州の州議員らを放逐することに成功している。(c)AFP
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