ニューヨーク(CNN) ホルムズ海峡で原油タンカーの通過が滞った状態が解決されることを、世界中が切実に願っている。トランプ米政権が試みているのは、まさにその解決だ。同政権は、4日にホルムズ海峡から米船舶2隻を誘導し、脱出させることに成功したと発表した。だが「プロジェクト・フリーダム」と呼ばれるこの措置はどうやら、歴史的なエネルギー危機の終息に必要なゲーム・チェンジャーではなさそうだ。
少なくとも、市場からのメッセージはそう読み取れる。
ホルムズ海峡を通過する船を米国が「誘導」するという新たな措置をトランプ大統領が発表した後も、エネルギー価格は下落しなかった。
原油先物も急騰し、消費者の負担は軽減されるより先に増大する兆しを見せている。
市場は現時点で、中東に閉じ込められた大量のエネルギーが、プロジェクト・フリーダムで解放されることはないとみている。
この懐疑姿勢には、いくつかの事実が反映されている。
1. これは護衛任務ではない
米中央軍によると、プロジェクト・フリーダムはホルムズ海峡における「通航の自由を回復」するための措置で、100機あまりの陸上・海上航空機と1万5000人の兵士が投入される。トランプ氏の発表をみると、米当局が主眼を置くのは当然ながらホルムズ海峡の再開だ。ただし、海峡を通過しようとする船舶に米軍が同行することを約束する措置ではない。実際、米当局者はCNNに、これは護衛任務ではないと言明した。
2. イランは停戦違反と主張している
イラン当局者らはただちに、プロジェクト・フリーダムが米国との脆弱(ぜいじゃく)な停戦に違反すると主張した。イランはさらに対抗措置として、この地域で攻撃を再開したとみられる。
3. 広がる不安
海運業界はイランがホルムズ海峡に機雷を敷設し、通過しようとする船を攻撃したことに衝撃を受けてきた。海運企業の幹部らはすでに、プロジェクト・フリーダムに慎重な見方を示している。また、タンカーの船主が海峡通過を試みるリスクをいとわないかどうかは不透明だ。
プロジェクト・フリーダムは、ホルムズ海峡の完全な再開には程遠い。石油アナリストらによれば、石油価格が大幅に下がるよう中東で原油の十分な流れを再開するには、長い道のりが必要になる。米国の政治リスク専門コンサルティング会社、ユーラシア・グループは、イランが「話に乗ってくる」か、あるいは海軍によるこの地域への大規模展開がない限り、プロジェクト・フリーダムは失敗に終わると警告している。
同社は4日、報告書の中で「米国の計画で近い将来、ホルムズ海峡を通る輸送量が大きく増えることはないだろう」と述べた。
香港を拠点とする船舶管理会社、アングロ・イースタンのビャアン・ホイゴー最高経営責任者(CEO)も同様の見方を示す。
「封鎖状態の解除には一方だけでなく、双方の同意が必要だ」と、ホイゴー氏は語る。「どちらか一方から一部の船舶を通過させてもいいとの意思表示があっても、他方が実際に受け入れない限り、現場の実態が大きく変わることはない」
その実態は、中東で新たに物理的な攻撃があったことにより、さらに複雑さを増している。
米軍とイラン軍の間で4日、攻撃の応酬があった。米軍は自国のアセットが攻撃を受けたことへの対抗措置として、イランの小型艇を撃沈した。
また、ホルムズ海峡で韓国系の船舶が爆発を起こした。原因は不明だが、海峡通過を検討している船舶にとっての安全上の懸念が浮き彫りになった。
さらに、アラブ首長国連邦(UAE)の主要石油施設で大規模な火災が発生。当局者らは、イランのドローン(無人機)による攻撃との見方を示した。
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