NPT=核不拡散条約の再検討会議は、条約の締約国が「核軍縮」を進めているか、「核の不拡散」を遵守しているかを確認するため、5年に1度開催されているもの。
各国による非難の応酬となるなか、参加国の全会一致が必要な「最終合意文書」を取りまとめることはできるのでしょうか。今回の会議の見通し、そしてNPTが持つ役割とは。
■NPT=核不拡散条約の3つの柱 きっかけは「キューバ危機」
NPT=核不拡散条約ができるきっかけとなったのは、ソ連がキューバに核ミサイルを配備しようとした1962年の「キューバ危機」です。
米ソの核戦争が現実味を帯び、「核兵器の脅威がこれ以上広がるのを止めなければ、人類が滅亡する」という危機感のもと「3つの柱」を持つNPTの枠組みが作られたのです。
その柱とは、
▼核兵器を持つ国を増やさない、
▼今持っている国は核兵器を減らす、
▼原発などの「平和利用」は認める、というもの。
平和利用をする国は、兵器の開発につながらないよう「査察を受ける義務」があります。
まず1つ目の柱、「核不拡散」について、現状はどうなっているのでしょうか。
■「核不拡散」の現状は? NPTの枠外で4か国が核保有
NPTでは条約ができる前に核を保有していたアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5か国については、そのまま保有を認めています。
しかし今やこの5か国だけではありません。
NPTに加盟せず核兵器を保有したのが、インド、パキスタン、イスラエル。北朝鮮もNPTの脱退を表明して核兵器を開発し、「不拡散」を掲げたNPTの枠外で核兵器が拡散してきたのです。
【世界の核弾頭数】
・アメリカ:3700発
・ロシア:4310発
・イギリス:225発
・フランス:290発
・中国:600発
・イスラエル:90発
・パキスタン:170発
・インド:180発
・北朝鮮:50発
※RECNA・2025年6月時点
■対応別れる…NPT「内外」で核開発進める2国の差
複雑なのが中東です。NPTの「枠外」で核開発を進めたイスラエルは、査察も受けず国際社会からの制裁も課されないまま、核弾頭90発を保有しているとされます。
一方、今そのイスラエルとアメリカから攻撃されているイランは、NPTの加盟国で、条約の柱の1つである核の「平和利用」の権利を持ち、査察も受け入れてきました。
ここで問題とされているのは、ウランの濃縮です。
イランは、あくまで原発や医療に使う「平和利用」だとして、ウランの濃縮を進めてきましたが、実際の使い道には不透明な部分があり、過去にIAEA(国際原子力機関)の査察で起爆装置の開発が指摘されたこともあり、イスラエルに対抗して「核兵器を持とうとしているのではないか」と疑われているのです。
「平和利用」の柱も一筋縄ではいかない状況。
■専門家は核ドミノの懸念指摘 今回のNPT会議で進展は?
そして、核保有国が核兵器を減らしていくという2つ目の柱も揺らいでいます。
かつて、冷戦終結の象徴ともされたINF(中距離核戦力)を全廃する条約は、2019年に失効。
オバマ政権で結ばれた米ロ間の最後の核軍縮条約「新START」も、2026年2月に失効しています。
今回のNPT会議で、こうした悪い流れを少しでも食い止めることはできるのでしょうか。
例えば2000年、2010年の会議では「核保有国が自国の核兵器の最終的な廃棄を明確に約束する」との合意文書がまとまるなど、一定の成果が出たこともありました。
長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎客員教授は、「見通しは厳しい」と分析。
その上で、核保有国が『軍縮の約束』を破り非保有国を威嚇している現状は、“核を持った方が安心”だと思う国を増やしてしまっている。今回の会議では最低限、▼核兵器を絶対に使わない、▼NPTの維持が不可欠といった合意ができなければ、NPTを脱退してでも核兵器を持とうという国が新たに出てきかねないと指摘します。
このNPTの枠組みが有名無実化してしまうと、核保有国が連鎖的に増える「核ドミノ」が始まる懸念すらあるといいます。
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