太陽の爆発にともなって放射線が増加する現象が、800年以上前に起きていたことが確認されました。手がかりになったのは、平安・鎌倉時代の日記と、青森県でうもれていた樹木です。沖縄科学技術大学院大学(OIST)などのチームが発表しました。【寺町六花】
太陽の表面で爆発現象「太陽フレア」が起きると、地球に届く放射線が増える「太陽プロトン現象」が発生することがあります。人工衛星の故障や宇宙飛行士の被ばくなどにつながりかねず、「宇宙の嵐」と呼ばれます。ただ、現代の観測だけではデータが限られています。
チームはこうした現象の発生時期を特定するため、1204年2月、京都の北の空に赤い光が見えたとする日記の記録などを参考にしました。この日記は歌人の藤原定家が書いた「明月記」で、定家は小倉百人一首の選者として知られています。
ふつうのオーロラは、アラスカなど緯度の高い地域で見られます。赤い光は低い緯度で見られたオーロラで、大規模な太陽フレアが起きていた可能性があるため、発生した時期をしぼりこむ手がかりになりました。
太陽フレアにともなう放射線の一部は地球の磁場を突破して大気とぶつかり、放射性の炭素14を生み出します。チームは、青森県で発掘された樹木「アスナロ」を用い、年輪ごとにふくまれる炭素14を測定しました。1200年冬~翌春の間に炭素14が急に増え、太陽フレアが起きていたことが分かりました。また、当時の太陽の活動周期は、現在の約11年より短い7~8年でした。
一方、明月記で低緯度オーロラと考えられる現象が記録されている1204年には、炭素14の急増が起きていませんでした。予想に反し、太陽の活動が活発でない時期にオーロラが発生したとみられます。
OISTの宮原ひろ子准教授は「太陽活動にともなう現象を効率的に探すうえで、古典籍は重要な役割を果たす」と説明しました。太陽表面の状態がどのようなときに明月記のオーロラのような現象が起こるのかも研究したいとしています。
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