アメリカのトランプ政権は2月、地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)やメタンといった温室効果ガスが、「人々の健康をおびやかす」と認めてきた国の判断を取り消しました。
「アメリカ第一」を掲げるトランプ大統領は、地球温暖化を抑えるための国際ルール「パリ協定」を抜け、気候変動の影響を軽んじる振る舞いを続けてきました。なかでも今回の決定は、温室効果ガスを減らす世界的な取り組みに、一段と大きな打撃を与えるかもしれません。
取り消されたのは、2009年に当時のオバマ政権が示した「危険認定」と呼ばれる決まりです。温室効果ガスを汚染物質の一つとみなし、自動車や発電所、工場などからの排出を減らすルールをつくる理由となってきました。いわばアメリカの温暖化対策の土台となる考え方でした。
トランプ氏は記者会見で、温室効果ガスを減らすためのこれまでのルールは「アメリカの自動車産業に深刻な損害を与えてきた」と主張しました。車の燃費などについてのルールをゆるめれば、企業の負担が軽くなって、車の値段も下がるはずだと言います。目の前の経済と物価対策を優先する姿勢を支持者にアピールしたい考えが背景にあります。
多くの科学者や環境団体は反発しています。温室効果ガスを減らす努力が遅れるほど、これまで経験したことのないような極端な気象現象が起きやすくなると予測されているからです。また、石油や石炭などの化石燃料を燃やすことで出る大気汚染物質は、ぜんそくなどの健康被害にもつながります。温暖化対策とは気温だけでなく、人々の暮らしや健康に直結しているのです。
アメリカは歴史的に、世界で最も多くの温室効果ガスを出してきた国です。本来は国際社会の中で温暖化を抑える取り組みに最も大きな責任を負っています。
いくつかの環境団体が、今回の措置について裁判で争う考えを示しています。アメリカでは政権が代わるたびに気候変動への取り組みが大きくゆれ動いてきました。今回の決定が今後も続くのか、それとも見直されるかは、裁判や将来の政権の判断にゆだねられています。アメリカの選択は決して遠い国の出来事ではありません。みなさんを含む地球に暮らすすべての人にかかわる問題として、世界が注目しています。<タイトルカット:陽魚>
毎日新聞ニューヨーク支局専門記者。気候変動や環境問題などが取材テーマ。科学環境部やブリュッセル支局でも取材をしていました。水族館が好き。
このコーナーは毎月第2火曜日(一部地域は翌日)に掲載します。
Indonesian
English
Hindi
Thai
Vietnamese
Burmese
Spanish
Portuguese
Arabic
Russian
Chinese