みなさんは、好きな生き物はいますか? きれいだな、カッコイイなと思う生き物がいるかもしれません。家の近くで見かける木や鳥から、深海底で湧き出す熱水(温泉)の近くにすむゴエモンコシオリエビまで、地球にはそれぞれの環境に適応したさまざまな生き物たちの営みがあります。
中でも、小さく肉眼で見ることが難しい「微生物」は極めて多様です。ヨーグルトを作る乳酸菌やお酒を作る酵母など、私たちは微生物の生き様を理解し、生活に役立ててきましたが、これは一部に過ぎません。地球には1兆種以上の微生物がいて、私たちが詳しい性質を知っているものは、そのうち1%未満と考えられています。この地球は、どのように生きているのか分かっていない未知の微生物たちであふれているのです。
こんな微生物がいたら面白い、と考えられている一つが「電気を食べる微生物」です。これは体の外から体内に電子を取り込む「電子を食べる微生物」や「電気エネルギーを使って生きる微生物」ともいえます(以降「電気微生物」とします)。
地球の生物は、光または化合物を体内に取り込み、そのエネルギーを使って生きていると考えられてきました。そのため、「これは電気エネルギーを使って生きる3番目のタイプかも!?」と注目されているのです。しかし、2010年にアメリカの実験室で最初に報告されたものを含め、世界で数例が知られているのみで、自然の中でどんな電気微生物が活動しているのかは、ほとんど分かっていません。
そこでJAMSTECでは、深海底に注目して電気微生物を探索しています。具体的には、深海底から熱水が噴き出す熱水噴出孔周辺に微小な電流が流れていることを見つけたJAMSTECが行った海底調査の発見をヒントに、熱水噴出孔の近くには電気を食べる電気微生物がたくさんいるのでは、と考えたのです。
しかし、熱水噴出孔の周りには微生物・動物がたくさん生息していて、そこから電気微生物を見つけるのは困難です。そこで私たちは、深海底で微弱な電流を流し、微生物に電子を与え続ける電極装置を開発しました。これを熱水噴出孔の近くに数か月~数年設置し、周囲の電気微生物たちをおびき寄せ、そこで電気を食べて増殖した微生物を捕まえようとしています。
これまでに、熱水噴出孔の近くで少しずつ電子を与えた電極の表面に、特定の未知の微生物たちがすみつくことが分かりました。例えば、写真のように細長い細胞が増殖し、繊毛というケーブル状の構造体を作って、細胞と電極表面やお互いの細胞同士をつなげた集団を形成していました。この集団が電気を食べる仕組みを調べています。
また予想外に、熱水噴出孔から遠く離れた海底でも、電子を与えた電極にまた別の微生物集団が増殖しました。彼らは何者でどこからきたのでしょうか。この地球は、未知の微生物たちの営みであふれています。
◆ワード解説
物質の中にあるとても小さな粒。電子が移動すると電気が生まれます。電子の動きは、生命活動で重要な役割を果たしています。
広く深い海は、人類が見たことがない場所や、わかっていないことがたくさんあります。JAMSTECは、そんな海のふしぎを調べ、成果を私たちのくらしや、未来に役立てる研究を進めています。国の研究機関で、神奈川県横須賀市など全国6か所に拠点があります。QRコードから、海のことをもっと知るたくさんの映像や解説をごらんください。
JAMSTEC超先鋭研究開発部門。専門は微生物電気化学・環境微生物学。出身小学校は、東京都府中市立府中第四小。小学生の頃は、畑や用水路で遊んだり、いろんな物をまねして作ったりするのが好きで、おしゃべりが止められない子でした。
(次回は2月9(ここの)日・一部地域は10(とお)日掲載です)
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