=1面からつづく
北海道日高町の坂戸牧場で生まれたナランフレグは、2歳となった2018年秋にデビューしました。6番人気ながら快勝し、その後も善戦を続けました。
坂戸節子さんは、レースをテレビで観戦しながら「強いな」と感心しましたが、まさか後にGⅠ(ジーワン)レースを制するとは「考えもしなかった」と言います。そしてむかえた22年春、GⅠ(ジーワン)では最も短い距離(1200メートル)で争う高松宮記念。上位人気はいずれも大牧場のノーザンファーム生産馬で、6歳になっていたナランフレグは8番人気でした。
いつものように前半は後ろから追いかけ、直線に入ると、内側からスルスルと他の馬をごぼう抜きしていきます。わずかに先頭に立った瞬間がゴールでした。「あらあら……と思っていたら、勝っていた。『まさか』って」
翌日は、部屋に入りきらないほどの花束が届き、町長までお祝いに訪れました。牧場はもちろん、調教師も騎手もそろってGⅠ(ジーワン)初制覇でした。坂戸さんは「みんなに花を持たせてくれた」となつかしみます。
ナランフレグはその後も健闘し、23年のレースを最後に引退。「Yogiboヴェルサイユリゾートファーム」(日高町)で種牡馬(繁殖用のオス)になりました。ナランフレグは平取町の分場で暮らします。
分場と坂戸牧場は車で10分ほどの距離なのに「1歳で牧場から送り出して以来、引退後も対面していない」という坂戸さんと坪島新一さん。昨年11月下旬、ナランフレグに会いに行きました。
「元気でいたか」
坂戸さんがそう声をかけて鼻をなでます。坪島さんは一回りも二回りも大きくなった馬体を見ながら「いい形になっとる」と目を細めました。
世話をする厩務員の太田篤志さん(39)は「おとなしくてあつかいやすい。放牧地では、ファンを見ると近くに寄ってくることもあります」と語ります。馬房を見た坪島さんは「お守りがいっぱい。この馬のために送ってくれる人がいるんだね」と感慨深そうでした。
種牡馬になったナランフレグですが、25年に誕生した子はわずか1頭。その1頭は昨年11月まで坂戸牧場にいました。4月生まれの牝馬で、坂戸さんは「父に似て賢そう」と期待します。
話題になっているドラマのことを坂戸さんは知りませんでした。あらすじを伝えると「大牧場の馬が強いのは日常茶飯事。そればかりじゃ面白くないもんね」。
平均年齢82歳の3人が奮闘する牧場の物語には、まだ続きがありそうです。=連載「きっとウマくいく2026」は今回でおわります。
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