
(CNN) 中国系動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」が検索候補キーワードを通じ、若いユーザーを性的に露骨なコンテンツへと誘導していたことが新たな報告書で分かった。英非営利監視団体グローバル・ウィットネスによる調査で明らかになった。現在テクノロジー企業に対しては、年齢確認の厳格化を求める圧力が高まっている。
3日に公表された調査の一環として、グローバル・ウィットネスは英国で七つの新しいTikTokアカウントを作成したと述べている。これらのアカウントはアカウント作成に必要な最低年齢である13歳を装い、工場出荷時にリセットされた端末で作成された。検索履歴はない状態だ。
グローバル・ウィットネスによるとTikTokの検索候補キーワードは、年齢を13歳と申告し、「使用制限モード」でアプリを閲覧していたユーザーへのものとしては「非常に性的な」内容だったという。TikTokのサポートページによれば、「使用制限モード」は、「性的に露骨なコンテンツ」など、「すべての人にとって不快な可能性のあるコンテンツへの露出を制限する」モード。
今回の報告書は、英米両国でネット上での子どもの保護を強化するための幅広い取り組みが進む中で発表された。TikTokは現在、昨年起こされた訴訟に関する非難にも直面している。訴訟は同アプリが若年ユーザーの精神的健康に有害だと訴える内容だ。
CNNが報告書について問い合わせたところ、TikTokの広報担当者は、会社としてユーザー体験の安全を守ることに尽力していると述べた。
広報担当者は声明で、「これらの申し立てを認識した直後に調査を行い、ポリシー違反のコンテンツを削除した。検索候補機能の改善にも着手している」と明かした。その上で、TikTokには「10代の若者の安全と幸福の支援に特化して設計された50を超える機能と設定」が存在すると付け加えた。
声明ではまた、「安全で、年齢にふさわしい体験を提供することに尽力している」と強調。「違反動画の10件中9件は視聴される前に削除している」とも述べた。
しかし報告書によれば、グローバル・ウィットネスが作成したテストアカウントのうち三つでは、「ユーザーが検索バーを初めてクリックした瞬間」に性的な検索ワードが推奨されたという。またTikTokは7人のテストユーザー全員に対し、「アカウント作成後、わずか数回のクリックで」ポルノコンテンツを表示させた。
グローバル・ウィットネスは報告書の中で、「我々の主張は、TikTokが未成年者にポルノコンテンツを表示しているというだけではない。TikTokの検索アルゴリズムが未成年者をポルノコンテンツへと積極的に誘導しているということだ」と強調した。
TikTokのコミュニティーガイドラインではヌード、性行為、性的サービスを含むコンテンツ、そして青少年が関与する性的に示唆的な行為や著しい身体露出を含むコンテンツが禁止されている。
TikTokは2025年1月から3月までの透明性レポートの中で、ポリシー違反によりプラットフォームから削除されたコンテンツの約30%が、センシティブで成人向けのテーマを扱っていたため削除されたと述べている。
広報担当者によるとTikTokは、13歳未満の子どもがアカウントを使用している可能性を検知する技術を含む、様々な年齢検出方法を用いて、毎月世界中で約600万件の未成年アカウントを削除している。また13歳未満の子どもがTikTokを使用している可能性のある兆候を検知できるよう、モデレーションチームに訓練も施しているという。
今回の報告書は、英国のオンライン安全法における児童の安全に関する追加規則が7月下旬に施行された後に発表された。メディア弁護士のマーク・スティーブンス氏は、グローバル・ウィットネスの報告書の中で当該の調査結果について、同法の「明確な違反を示している」と述べた。
TikTokはCNNの取材に応じた際、スティーブンス氏のコメントに対する即座の回答を控えた。
23年に成立したオンライン安全法は、インターネットの安全性強化を目的とした一連の法律を指す。具体的にはテクノロジー企業に対し、特定の種類のコンテンツの制限を義務づける新たな規則を適用する。各社には年齢確認の実施などを通じ、有害とみなされるコンテンツへの子どもによるアクセスを防ぐ措置が求められる。ポルノや自傷行為に関連する投稿といったコンテンツがこれに該当する。