
【9月17日 AFP】国連児童基金(ユニセフ)は、イスラエル軍が16日に大規模な地上攻撃を開始したパレスチナ自治区ガザ地区の中心都市ガザ市で、1万人以上の子どもが急性栄養失調の治療を必要としていると報告した。
ユニセフのテス・イングラム報道官はガザ地区南部マワシ地区からリモートでスイス・ジュネーブで会見し、「ガザ市からの大規模な強制退去は、最も脆弱(ぜいじゃく)な立場にある人々にとって致命的な脅威だ」と述べた。
イングラム氏は、栄養失調の子どもの割合の増加について警告。
「ガザ地区では現在、推定2万6000人の子どもが急性栄養失調の治療を必要としており、ガザ市だけでも1万人以上に上る」と述べた。
8月にガザ地区で検査を受けた子どもの8人に1人以上、ガザ市では5人に1人が急性栄養失調に陥っており、「過去最高水準」だという。
イングラム氏はさらに、ガザ市の栄養センターは「避難命令と紛争拡大により、今週閉鎖を余儀なくされた」と付け加えた。
イスラエル軍は、ガザ市から南のマサウィ地区に避難する人々には食料、テント、医薬品を提供すると主張している。
だが、戦闘開始から2年近くが経過した今も、イスラエルはガザ地区のいわゆる「人道支援地域」を頻繁に爆撃し、イスラム組織ハマスの戦闘員を標的にしていると主張している。
イングラム氏は、「700日以上にわたる容赦ない紛争で傷つき、トラウマを負った約50万人の子どもたちが、ある地獄のような場所からまた別の地獄のような場所に逃げることを期待するのは非人道的だ」と指摘した。
イスラエル軍によると、国連の推定では約100万人とされるガザ市とその周辺地域の人口の約40%が避難を余儀なくされている。
ガザ地区では報道規制が敷かれ、多くの地域へのアクセスも困難なため、AFPは各当事者から提供された詳細情報を独自に確認することができていない。
イングラム氏によると、8月14日以降、約15万人がガザ市から南部に避難したという。
ユニセフの現地チームによると、人々は依然としてガザ市とその周辺地域を移動しており、他の場所に避難できていない。
イスラエルの公式発表に基づきAFPがまとめた数字によると、2023年10月7日のハマスによる越境攻撃では1219人が死亡した。ほとんどは民間人だった。
一方、ハマスが実効支配するガザの保健当局によると、イスラエルがガザで実施している報復攻撃では少なくとも6万4964人が死亡した。こちらもほとんどは民間人だった。国連はこの数字について、信頼できるとしている。(c)AFP