
九州北部を襲った8月10、11日の記録的大雨から1か月近くになります。大雨特別警報が一時出され、被害が集中した熊本県では、7500棟を超える住宅の被害が明らかになっています。被害が深刻な地域では、なお住民が後片付けに追われています。災害ボランティアは足りていません。【中村敦茂】
8月31日朝、八代市興善寺町の岩山雅治さん(78)宅で、関西地方から来たボランティアグループが、床下に入り込んだ泥などを懸命に運び出していました。
一帯は大雨時に裏山から土石流が発生、宅地や道路に大量の土砂が流れ込みました。岩山さんの家の周囲も数十センチメートルの高さまで土砂に埋まりました。車3台も土と水に埋もれ廃車になりました。
市内の長女宅に身を寄せながら、連日のようにボランティアの助けを借りて土砂撤去を続けてきました。「おかげで外周りの土砂は9割ほど片付いた」と感謝する岩山さん。その後も作業が進み、2日に帰宅を決めました。「室内など残りは自力で続けたい」と語ります。
熊本県が集計する住宅被害件数は、把握が進むにつれて膨らみ、2日時点で、全壊17▽半壊980▽一部破損3164▽床上浸水2061▽床下浸水1292――の計7514棟に上ります。地域別では八代市が3001棟と最多で、熊本市1277棟、天草市977棟などとなっています。
生活再建に向けた、ぬれた家財の運び出しや土砂撤去には人手が欠かせません。しかし地域によってはボランティアの数が十分ではありません。
八代市災害ボランティアセンターには、平日50人、土日100人ほどのボランティアが集まり作業にあたってきました。しかし227件の派遣依頼(キャンセル除く)に対し、対応済みはまだ79件(1日現在)です。松本博昭センター長は「特に平日の人数が少なく、多くの被災者に待ってもらっている。ぜひ協力をお願いしたい」と呼び掛けます。熊本市も災害ボランティアセンターの開設を延長して受け付けを続けています。