
(CNN) 英ロックバンド「クイーン」が1985年に開催された大規模なチャリティーコンサート「ライブエイド」で披露したパフォーマンスは歴史に残るものだった。だが、バンドメンバーのブライアン・メイとロジャー・テイラーは、出演しなかった可能性もあったと振り返った。
メイとテイラーは英メディア「ラジオ・タイムズ」の取材に対し、ライブエイドの主催者だったボブ・ゲルドフ氏から声をかけられた際、リードシンガーのフレディ・マーキュリーが当初は当惑していたと振り返った。
メイは1日に公開されたインタビューで、「我々はツアーも演奏もしていなかったし、50ものバンドが同じラインアップに並ぶというのは無謀なアイデアに思えた」と語った。
「我々は大惨事になるだろうと思っていた。特にフレディは『フィーリングが合わない』と語っていた。フレディはバンドのリーダーではなかったが、もし彼がかたくなに抵抗したら、引きずり出すことはできなかった。だから、これを棚上げにした」
しかし、メイによれば、ゲルドフ氏が再び依頼に訪れ、イベントの盛り上がりとともに、クイーンは参加を決めたという。
メイは「フレディに言ったんだ。『もしこのライブエイドのショーの翌日に目が覚めて、参加していなかったら、すごく悲しくなる』って。彼は『ああ、いいよ、やろう』と言ったんだ」と振り返った。
ゲルドフ氏はクイーンに演奏時間は厳密に17分と決められていると伝えた。
テイラーは、バンドも緊張していたと語った。
「バンドエイドのシングルには参加していなかったし、若いアーティストの多くと比べると、我々は比較的年上だと自覚していた。かなり遅くに加わったので、必ずしもクイーンのファンではなかった」(テイラー)
「しかも、昼間だった。舞台照明の効果がないから、昼間は嫌だった。舞台上では演出があまりにも適当で、全ての要素がうまく調和してくれるのを祈るしかなかった」「自分たちの技術を疑っていたとは言わないが、技術的な不安はあった」(テイラー)
そして、クイーンは最も記憶に残るパフォーマンスの一つを披露した。
マーキュリーは、ウェンブリー・スタジアムの7万2000人の観衆の前で「Radio Ga Ga」にあわせて拍手する姿で、ライブエイドでの最も素晴らしい場面の一つを作り出した。観客の大多数も両腕を宙に伸ばしていた。
「クイーンの観客じゃなかった」とメイ。「だから、彼らが何をすればいいのかさえ分からないまま演奏を続けた。彼らは何も考えず、ただそうしていた。全員が手を挙げているようだった」