
(CNN) ウクライナとロシアの次回の和平協議の行方が不透明となる中、米共和党のグラム上院議員と米民主党のブルーメンソール上院議員の2人が5月30日、ウクライナ首都キーウを訪問し、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。
ウクライナ情勢をめぐっては、ロシアが戦争開始以降で最大規模の空爆を実施するなか、米国は紛争を終わらせるようロシア政府への圧力を強めている。
ウクライナ大統領府によると、会談では進行中の和平協議や米国の対ロ制裁強化に向けた法案などが話し合われた。
グラム氏とブルーメンソール氏は、ロシアへの追加制裁を定めた超党派の法案を提出している。法案は、ロシア産の石油やガス、ウランなどを輸入する第三国に対して500%の関税を課すのが柱で、与野党合わせて82人の上院議員が支持している。
グラム氏はロイター通信に対し、法案を近く採決にかける考えを明らかにした。成立には上下両院での可決とともにトランプ大統領の署名が必要となる。
トランプ氏はこれまで、ロシアとウクライナの和平交渉を推進する狙いから追加制裁を見送ってきたが、ロシアが停戦に応じなければ制裁を科すと警告している。トランプ氏は、法案について、「内容を見て判断する」と語った。
グラム氏は訪問前にトランプ氏と話をしたとして、トランプ氏がロシア政府の「具体的な行動」を求めていると述べた。
一方、ウクライナ側は、6月2日にトルコ・イスタンブールで予定されている和平協議について、ロシアから「覚書」が届いていないと指摘し、開催に疑問を呈した。ゼレンスキー氏は30日、キーウで、トルコのフィダン外相と会談後、SNS「X」に「議題が明確でなければ会談は意味がない」と投稿した。
さらにゼレンスキー氏はトルコのエルドアン大統領とも協議し、和平協議が中身のないものになってはならないという認識を共有したと明らかにした。
ロシアのラブロフ外相は先に、次回協議ではロシア側の覚書を提示すると述べていた。
ロシアは5月、プーチン大統領がトルコでの「直接会談」を提案したものの自身は出席せず、両国は低位の代表団を派遣するにとどまった。唯一の成果は双方が1000人ずつを解放する最大規模の捕虜交換だったが、同時に続いたロシアの攻撃でその成果はかすんだ。