
東京の小金井市立本町小学校で1月24日、昨年の能登半島地震で被災した人たちによる防災授業があり、児童たち86人が参加しました。復興を目指して頑張っている能登の人たちや、ボランティアとして能登に通っている人たちのリアルな体験を聞き、児童たちは学びを深めました。
授業は本町小学校の5年生が、総合的な学習の時間に進めてきた防災学習の一つとして実施されました。石川県輪島市に住むしょうゆ製造業の谷川貴昭さん、能登町で発酵食の宿を経営する船下智香子さんとベンジャミン・フラットさん夫妻、輪島市で柿農園を経営する柳田尚利さん、珠洲市で海女漁を営む吉田華子さんが、先生として招かれました。
最初に、5年生の児童たちがゲストの先生たちの前で、地震対策や避難所運営、防災グッズ、地域のハザードマップなどの18のテーマごとにグループに分かれ、調べてきたことや話し合ってきたことを発表しました。能登から来た先生たちからは、発表に対しての感想やアドバイスと、能登地震でどう生活が変わったかなどの体験談が伝えられました。
児童の発表を聞いた船下さんは、「水の確保が大事」という点を掘り下げてほしいと話しました。水を飲まなくなると体の調子が悪くなるという自身の経験を伝え、「能登の中には今も水が出ないところがあります。3日以上、使う分の水をどう確保するか考えてほしい」と強調しました。能登では水だけではなく、電気が4~5日つかなかった地域もあったそうです。
また「防災倉庫の食料は行けばもらえるの?」というテーマでは、「避難所ではなく家に自主避難している人には、最初に食料が配られなかった」などと、子どもたちにとって予想できない話が続きました。船下さんは、どうやって食料を用意し、それを保存していくかが大事だと説明します。防災グッズで役だったものとして、ロープやブルーシート、手動で使えるスマートフォン用のチャージャーなどをあげました。
柳田さんは、避難方法や非常食についての発表を聞きました。水は1人3リットルの備蓄が最低でも必要とはよく耳にしますが、柳田さんは「それではぜんぜん足りない。水はあったらあるだけ確保して」と説明しました。そして「地震が起こると、水や電気、ガス、電波が同時に止まります」と、そのときの状況がいかに大変だったかを語ってくれました。
児童たちは、事前の学習で知ることができなかった被災地での体験を直接聞くことで、備えることがいかに大切かを分かったといいます。「井戸や川、山の位置などのチェックも必要と思った」「72時間(3日間)の備えだけでなく、1週間とか1か月になることも考えた準備が必要と思った」「準備していた水だけじゃ足りないと思った」「避難所に行った方がよいと知った」などと話していました。【木谷朋子】