24日、通常国会が開会しますが、焦点の一つとなるのが、「選択的夫婦別姓制度」です。
現在、日本では男女が結婚するとき、すべての夫婦は必ず同じ「姓」を名乗らなければいけません。
一方、「選択的夫婦別姓制度」は、現在の制度に加えて、希望する夫婦が、結婚後、それぞれ結婚前の姓を名乗ることを認めるものです。
法務省の調査によりますと、同じ姓か別姓を選ぶことができるのはアメリカやイギリスなどとなっています。
また、韓国や中国などでは夫婦別姓が原則となっていて、結婚後、夫婦いずれかの姓を選択しなければいけないとしているのは日本だけだということです。
24日から始まる通常国会で議論が活発になる見通しの「選択的夫婦別姓」。宮崎県民の意見や専門家の見解を取材しました。
24日から始まる通常国会で注目の論点となっている「選択的夫婦別姓制度」。国連や経団連なども早期導入を求める中、現行の制度をどう感じているのか。
社員のおよそ6割が女性という宮崎市の企業で話を聞いてみました。
こちらの既婚女性は姓を変更する際、手続きの多さに苦労したといいます。
(女性・既婚)
「窓口に行って手続きをするにも待ち時間がどうしてもかかるし、姓を切り替えるにも、すぐにはできるものではなかったりするので、スムーズにいかないもどかしさは感じたことがある」
また、既婚の男性からも夫婦別姓に賛成だという意見が。
(男性・既婚)
「夫婦別姓は賛成派。多様性が尊重される世の中になりつつある中で、それぞれ、これまで通りの姓を名乗るという選択ができる環境にはなってほしいと思っている」
一方、未婚の女性からは、生まれたときからの自分の姓を大事にしたいという意見が聞かれた一方で、子どもの姓を不安に思う声が上がりました。
(女性・未婚)
「私的には今まで自分の名前で頑張ってきて、自分のキャリアを積んできたので、今後もそれで頑張っていきたいので、結婚に伴ってそこが変わるというのはあまり納得はいっていないというか、変わらないほうがいいと思う」
(女性・未婚)
「子どものことを考えると、どちらの苗字にするのかとか話し合いが生まれるのかなと考えると、どちらかがどちらかの姓になっていたほうが、そのときにいいんじゃないかなと思っている」
家族法などが専門の宮崎産業経営大学法学部の矢鋪 渉 教授は、24日からの国会で議論が進められることについて。
(宮崎産業経営大学法学部 矢鋪 渉 教授)
「本当ならしなくてもいいような改姓手続きをせざるを得ないことになるので、どちらかの配偶者が非常に生活上の不利益を被るということになる。まだ法制化されていないことに関して、ちょっと遅すぎるという気がする」
「選択的夫婦別姓」をめぐっては、家族の中で姓が異なることにより、子どもの不利益が生じないか、伝統的な家族観が失われるのでは、など、さまざまな懸念点が指摘されていますが、矢鋪教授は寛容な社会になることが重要だと話します。
(宮崎産業経営大学法学部 矢鋪 渉 教授)
「男女が同じ土俵の中で生活をしたり仕事をする中で、どちらか一方に不自由とか、ハンディをかけるような状態というのはいろんなところで指摘されているが、それは早く是正されるべき」
24日から始まる通常国会。どのような議論が展開されるのか注目されます。 【参考】
夫の姓にする夫婦の割合は、法務省によりますと、2019年時点でおよそ95%だったということで、女性の立場からすると、免許証や銀行口座など変更手続きが負担となるのは現実としてあります。
女性の社会進出が進む中、ジェンダーの観点からも重要な議論となります。
※MRTテレビ「Check!」1月23日(水)放送分から