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◆言葉
兵庫県の神戸市立王子動物園の国内最高齢パンダ「タンタン」(メス、28歳)が3月31日に天国に旅立ちました。2000年に中国から日本にやってきて以来、阪神大震災からの復興のシンボルとなり、「神戸のお嬢さま」の愛称で親しまれていましたが、心臓の病気で長い間、治療をしていました。
一方、東京の上野動物園のリーリー(オス)とシンシン(メス、ともに19歳)が9月29日に中国に返還されました。2頭とも高血圧の治療のためで、余生を中国で過ごすことになったからです。
これに伴い、現在、日本で飼育されているパンダは、和歌山県白浜町のテーマパーク「アドベンチャーワールド」の4頭と上野動物園の2頭の計6頭だけになりました。
◆数字
2024年1月1日現在の日本人の人口は1億2156万1801人で、前年より86万1237人減りました。減少数は1968年の調査開始以来、最大です。一方で、外国人の人口は初めて300万人を超えました。
1人の女性が生涯に産む子どもの数に相当する合計特殊出生率も、2023年は1・20と過去最低になりました。24年上半期(1~6月)に生まれた赤ちゃんの数も、前年と比べると6・3%減の32万9998人にとどまりました。この傾向は変わらないと見られ、今年1年間の出生数が初めて70万人を割る可能性が大きくなっています。
結婚しない人や結婚をするのが遅い人が増えたことに加え、新型コロナウイルス禍で結婚や出産を控える人が増えたことが少子化に拍車をかけたとみられます。
◆顔
1966年に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人を殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われ死刑が確定した袴田巌さん(88)=写真中央=に対するやり直しの裁判(再審)で、静岡地方裁判所は9月26日、無罪判決を言い渡しました。静岡地方検察庁は10月9日、控訴を断念。袴田さんは、逮捕から58年を経て、無罪が確定しました。
死刑囚に対する再審無罪確定は戦後5事件目です。この結果を受けて、静岡県警察の津田隆好本部長や、静岡地方検察庁の山田英夫検事正が、袴田さんや家族に直接謝罪しました。
◆言葉
小林製薬(本社・大阪市)は3月22日、紅こうじという成分を含むサプリメント(栄養補助食品)=写真=を自主回収すると発表しました。摂取した消費者が腎臓の病気になるなどの健康被害が発生し、死亡したり、入院したりする人が出たためです。10月時点で関連が疑われると申し出があった死亡事例は120件を超えました。
紅こうじとは、蒸した米に紅こうじ菌を入れて発酵させたものです。以前から、食品の色づけなどに使われており、近年は健康食品の原料としても使用されていました。
国などの調査で、一連の健康被害は、青カビが作り出す物質「プベルル酸」を含んだ同社の製品が原因だったと判明しています。7月には、創業家の小林一雅会長と長男である小林章浩社長が責任を取って辞任し、8月には紅こうじ事業からの撤退を発表しました。