◆Boulangerie Sudo ブーランジェリースドウ(東京都世田谷区) 須藤秀男さん(50)
ブーランジェリースドウは、開店前から列ができる人気店です。秀男さんは、妻の枝里子さんと一緒にパンを作っています。職人を目指したのには、料理好きな母の影響があったそうです。「おいしい食事をいつも作ってくれて、食卓に飾る花や食器にもこだわりを持っていました」。子どもの頃から台所で母を手伝い、高校生の時にはレシピを片手に1人でパンを焼いていたと言います。
高校卒業後に製菓の専門学校で学んだ後、19歳で最初に働いたのは焼き菓子の専門店でした。そこで販売していたクロワッサンやブリオッシュなどのおいしさに衝撃を受け、パン作りの修業をスタート。35歳で独立し、現在のお店を開きます。
一口に「パン作り」といってもさまざまです。スーパーには工場で大量生産したパンが並んでいます。秀男さんたちは素材選び、生地から焼き上げまでこだわり、一から手作りしています。生地を膨らませるのに欠かせない「酵母」は、パンの種類によって4種類ほど使い分けているそうです。
パン職人として必要なのは体力だと言い切ります。挑戦したいことは山ほどあっても、体力が年々落ちていくのが悩みだそうです。それでも、材料や製法の工夫で個性を出し、他にはないパンを生み出す努力は惜しみません。「私たちにしかできないパンを作って人を感動させたいと思っています」。一番うれしいのは、「おいしかった」と言われることだと明かします。
パン職人に興味がある人は、食べ歩きしておいしいものを発見したり、美しいものを見てセンスを磨いたりするのが大切だとアドバイスします。「目標を持って、挑戦し続けましょう。努力した分だけ、将来自分に返ってきます」【西田佐保子】
パン職人になるために、必要な資格はありません。ただ、実際は秀男さんのように、専門学校に進学して、パン作りの技術を学ぶ人が多いようです。自分の店を開くのであれば、菓子製造業許可などの資格が必要です。
5:00 出勤
5:10 パン作りをスタート
11:00 開店
14:00 当日のパンの仕込み(生地を作り上げる作業)が終了
16:00 昼食
17:30 翌日のパンの仕込みをスタート
18:00 閉店
※翌日の仕込み作業を終えたら退勤