ニューヨーク(CNN) 創業者のパベル・ドゥロフ最高経営責任者(CEO)が先月フランスで逮捕されたメッセージングアプリ「テレグラム」は23日、安全性やユーザーのプライバシーを巡り一定の譲歩を示し、悪用者のデータを法執行当局に提出する方針を明らかにした。
ドゥロフ氏はギャングとの取引や人身売買など犯罪性が疑われるテレグラム上での活動や、捜査に関わるデータの提出を怠った疑いを巡りフランス検察に逮捕され、事情聴取を受けた。その後捜査が進行する中、556万ドル(約8億250万円)の保釈金を支払って釈放された。
この捜査を機に言論の自由やインターネット上の犯罪行為を巡る議論が巻き起こったが、当局の懸念は意外なものではない。テレグラムが9億5000万人以上のユーザーを集めている理由の一端は、暗号化技術やユーザープライバシー保護の約束にあり、麻薬密売業者やマネーロンダリング(資金洗浄)業者、過激派組織イラク・シリア・イスラム国(ISIS)などのテロ組織や白人至上主義者を含む過激主義者の間での人気ぶりが長年批判されている。
デュロフ氏の逮捕を受け、テレグラムは同氏に「やましい点」はないと述べ、「プラットフォームやその所有者にプラットフォーム悪用の責任があると主張するのはばかげている」と主張。デュロフ氏は逮捕から2週間後、ユーザーの「急激な増加」で負荷が増え、犯罪者に悪用されやすくなったことを認めていた。
デュロフ氏は今回、テレグラムへの投稿で、犯罪を減らすために変更を加えているところだと説明。利用規約やプライバシーを巡る方針を更新し、「正当な法的要請」があれば違反者のIPアドレスや電話番号を当局に提出する旨を明記すると明らかにした。法執行当局と共有した全てのユーザーデータについては、透明性に関する四半期報告書で開示する方針だという。
「テレグラムの検索機能は他のメッセージングアプリよりも強力になっている。ユーザーが公開チャンネルやボットを発見できるようにするためだ」とデュロフ氏は記し、「残念ながら、利用規約に違反して違法な品を売る人々により、この機能が悪用されている」と指摘した。